書写山円教寺(兵庫県姫路市)

概要

書写山円教寺は康保3年(966)に創建された天台宗の寺院で、「播磨六箇寺」の筆頭寺院です。⇒「播磨六箇寺」(詳細は左をクリック)

開山は天台宗の僧、性空(910-1007)で、播磨国司藤原季孝の保護を受けて開山、永延元年(987)には花山法皇の御願寺となりました。
さらに、花山法皇のほか、藤原公任も円教寺を訪れた記録が残っており、摂関家による保護を受けて発展していきました。

1ー摩尼殿(登録有形文化財)

天禄元年(970)創建。円教寺の本堂(主となるお堂)です。現在の建物は大正10年(1921)に焼失の後、昭和8年(1933)に再建されたものです。六臂如意輪観音像、四天王像(国指定重要文化財)が安置されています。

圓教寺摩尼殿

摩尼殿外観

摩尼殿階段右下の石の文字

摩尼殿階段右下の石に刻まれた文字

2-大講堂

大講堂・食堂・常行堂がコの字型に配置されています<三之堂(みつのどう)>
花山法皇の寄付によって永延元年(987)に建立されたと伝わりますが、現在の建物は室町時代のものです。
釈迦三尊像(国指定重要文化財)が安置されています。

大講堂

大講堂

大講堂の寺額

大講堂の寺額

3-常行堂

常行堂は、天台宗で行われている常行三昧行を行う道場です。創建年は不明ですが、寛和元年(985)には既に存在していたようです。
現在の建物は室町時代のもので、丈六阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)が安置されています。

映画「ラストサムライ」の撮影で使用された場所として有名になりました。

常行堂

常行堂

4-十妙院(兵庫県指定文化財)

円教寺の塔頭。赤松満祐が亡くなった娘のために建てたと伝わっています。等身千手観世音菩薩を安置。

十妙院

十妙院

十妙院の立て看板

十妙院の立て看板

5-寿量院(国指定重要文化財)

円教寺の塔頭。中世には無量寿院とよばれていたようですが、江戸時代に再建された際に無量院とよばれるようになりました。
現在の建物は江戸時代に建てられたものです。

寿量院

寿量院

寿量院の立て看板

寿量院の立て看板

奥の院

開山堂(県指定文化財)

御廟堂ともいい、性空上人を祀っています。方形の建物で、現在の建物は江戸時代に再建されたものです。

本尊として木造の性空坐像(鎌倉時代)が安置されています。
平成20年(2008)からの修理の際に、本尊を安置する須弥壇下から、五輪塔や一字一石経、「性空上人御真骨」と墨書された木材を伴った骨壺が発見されました。
また、同年の奈良国立博物館への出陳の際にX線調査が行われ、像の頭部に性空上人の遺骨を入れたとみられるガラス製の壺が収められていることが分かりました。

 

護法堂(重要文化財)

開山堂の手前に二棟立ち並んでいます。右側に乙天、左側に若天を祀っています。
乙天、若天はそれぞれ不動明王、毘沙門天の化身とされ、性空に従っていた二童子と言われます。現在の建物は室町時代のものです。

 

護法堂拝殿(県指定文化財)

 

法華堂

法華堂は寛和元年(985)に播磨国司藤原季孝の寄進によって建立されたと伝わっています。現在の建物は江戸時代の再建とみられます。

薬師堂(県指定文化財)

二間四方の正面に一間の礼堂を取り付けた構造で、性空が入山してはじめて庵を結んだ「二間草堂」にあたると考えられています。現在の建物は鎌倉時代末期に再建されたものとみられます。

6-日吉神社~西坂参道

書写山に登る山道は6つのコース(西坂・東坂・六角坂・置塩坂・刀出坂・鯰尾坂)があります。そのうち西坂は④十妙院にたどり着くコースとなっています。

日吉神社

日吉神社(兵庫県立大学姫路工学キャンパス東側)が西坂の登り口の最初

西坂参道入口

西坂

7-姫路藩主本多家墓所

姫路藩主は最初のころは円教寺に墓所をかまえていましたが、のちに城下に墓所をかまえるようになっていきます。
本多家は池田家3代ののち、本多忠勝の子忠政が入封しました。

忠勝(改葬)、忠政、忠政の子の政朝、政朝の子政長、忠国(2度目の入封)の5つの堂墓<兵庫県指定文化財>の他、
忠政の子の忠刻(ただとき)、幸千代(忠刻と千姫の子)、殉死者4名の墓があります。

本多家墓所

本多家墓所

本多家墓所の看板

本多家墓所の看板

「本多家と書寫山圓教寺」の看板

「本多家と書寫山圓教寺」の看板

8-姫路藩主松平家墓所(松平直基の墓)

松平直基の墓です。直基は、慶安元年(1648)姫路藩主に命じられますが、姫路に向かう途中で亡くなりました。

松平直基の墓

松平直基の墓

松平直基の墓の看板

松平直基の墓の看板

9-姫路藩主榊原家墓所

江戸時代初期の姫路城主榊原政房と、江戸時代中期の姫路城主榊原政祐の墓があります。

榊原家墓所

榊原家墓所

榊原家墓所の看板

榊原家墓所の看板

播磨六箇寺

播磨六箇寺とは

 播磨六箇寺(播磨六山とも)は中世播磨の地誌『峯相記』に名がみえる古刹で、播磨を代表する寺院です。古代に国分寺で行われていた法会を、中世になると六箇寺が担うようになりました。
 播磨国府は現在の姫路城周辺にあったとみられ、国府の後背を囲む山域に六箇寺が点在しています。

・書写山円教寺(姫路市)
・増位山随願寺(姫路市)
・八徳山八葉寺(姫路市)
・法華山一乗寺(加西市)
・蓬莱山普光寺(加西市)
・妙徳山神積寺(神崎郡福崎町)

いずれも天台宗の寺院です。

播磨六箇寺の位置

播磨六箇寺の位置

(大手前大学史学研究所2013『播磨六箇寺の研究Ⅰ―書写山円教寺の歴史文化遺産(一)―』)