赤松氏の城・寺院(姫路市~上郡町)

概要

 南北朝時代、赤松則村(円心)は足利尊氏を援護するため白旗城に籠城し、新田義貞軍の攻撃から50日以上持ちこたえて新田軍を撤退させることに成功しました。
尊氏の危機を救ったことから、赤松氏はその後室町幕府で播磨・備前・美作を治める守護として活躍しました。
 嘉吉元年(1441)、嘉吉の乱によって赤松満祐が自害し、惣領家が滅亡しますが、政則によって再興されました。

 このページでは南北朝時代~戦国時代の兵庫県内の赤松氏に関連する城や寺院を紹介します。

城山城トップ画像

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赤松氏略系図

①御着城(姫路市)

赤松氏の家臣小寺氏の居城。御着は古代以来交通の要衝として栄えていました。

発掘調査の結果、御着城の存続年代は14世紀末までさかのぼる可能性があり、当初は小規模な居館でしたが、16世紀前半中ごろに大型・中型の堀をめぐらすなどの防御機能を強化させたことが分かっています。

御着城本丸跡

御着城本丸跡の石碑

御着城の解説看板

御着城跡の解説看板

御着城の本丸があったとみられる場所

本丸があったとみられる場所

御着城の石碑

御着城跡と二ノ丸跡の石碑

黒田官兵衛は小寺氏に仕えていました。

二ノ丸跡の解説看板

二ノ丸跡の解説看板

②置塩城(おじおじょう/姫路市)

標高371mの城山に築かれた赤松氏の城。戦国時代になると坂本城から置塩城に拠点が変わりました。

嘉吉元年(1441)嘉吉の乱により赤松惣領家が滅亡しましたが、長禄2年(1458)に赤松政則を当主として再興がゆるされました。政則によって築かれた置塩城は以後5代にわたって居城として使用されたといわれています。城の廃絶は天正9年(1581)秀吉の破却によるとみられます。

城があった山

置塩城が築かれた山

置塩城の解説看板

置塩城跡の解説看板

置塩城の案内図

置塩城案内図

置塩城の大石垣

大石垣

本丸跡

本丸跡

本丸からの景色

本丸から瀬戸内海(南西)を眺めた景色
(圓教寺のある書写山が見える)

③坂本城(姫路市)

室町時代の赤松氏の拠点で、圓教寺の南のふもとに位置する大規模な平地居館です。戦国時代になると置塩城に拠点が移りました。

 

嘉吉元年(1441)、嘉吉の乱の際に、赤松満祐は坂本城から城山城に移りました。

坂本城跡の石碑

坂本城跡の石碑

坂本城跡の解説看板

坂本城跡の解説看板
土塁①、土塁②は下の写真の場所に対応

土塁1

土塁①

土塁2

土塁②(中央の高まり)

④白旗城(上郡町)

南北朝時代、標高440mの白旗山の頂に赤松円心が築城しました。建武3年(1336)に、円心が新田義貞に攻められた際、この城で一カ月半以上籠城し、持ちこたえたことから、現在では「落ちない城」として、受験生の間で人気の城となっています。この功績により、赤松氏は播磨の守護となりました。

白旗城登山口

白旗城登山道入口

本丸跡

本丸跡と絵馬

本丸からの景色

本丸から見た景色

白旗城の案内板

白旗城の案内板

二の丸跡

二の丸跡

白旗城は白旗山の尾根沿いに、本丸、二の丸、三の丸が構成されていました。

⑤白旗八幡社跡、栖雲寺(せいうじ/上郡町)

白旗山のふもとに、白旗八幡社と栖雲寺があります。白旗八幡社は、白旗城築城の際に守り神としてに建てられたといわれていますがよくわかっていません。栖雲寺は赤松円心の次男貞範(さだのり)によって建立されました。

白旗八幡社跡

白旗八幡社跡と移転された五輪塔群

白旗八幡社跡解説看板

白旗八幡社跡にある五輪塔群についての解説看板

栖雲寺跡

栖雲寺跡

栖雲寺跡解説看板

栖雲寺跡解説看板

⑥伝赤松居館跡(上郡町)

白旗城のふもとであるこの場所に、赤松代々の居館があったといわれています。近世の絵図には居館跡と書かれており、土師器が大量に出土しています。

解説看板

解説看板

居館跡から白旗城をのぞむ

居館跡から白旗城を望む

「苔縄城址」の石碑

「苔縄城址」の石碑がありますが居館跡とみられます

⑦赤松五社宮(上郡町)

「赤松居館跡」のすぐ北西に隣接してあります。赤松義則(赤松満祐の父)が「子孫擁護」のために、「熊野」「八幡」「住吉」「神功皇后」「天神」の五神を勧請したと伝わっています。

赤松五社宮

⑧宝林寺(上郡町)

宝林寺は赤松円心の子則祐が備前国(岡山県)に雪村友梅(せっそんゆうばい/臨済宗の禅僧)を開山として建立した寺でしたが、焼失したため上郡町に再度建立されました。赤松三尊像(赤松円心、赤松則祐、別法和尚、覚安尼(則祐の娘)の木坐像)が安置されています。

宝林寺風景写真

宝林寺

赤松三尊像解説看板

赤松三尊像解説看板

⑨法雲寺(上郡町)

赤松円心が建武4年(1337)に雪村友梅を開山として建立した禅宗の寺院です。円心堂に赤松円心武者像が安置されています。

法雲寺風景写真

法雲寺

法雲寺石碑
法雲寺解説看板

解説看板

円心堂

円心堂

参考文献:

大手前大学史学研究所2007『大手前大学史学研究所オープン・リサーチ・センター シンポジウム 赤松氏と播磨の城館報告集』(←クリック「刊行物」ページへ)

上郡町郷土資料館2017『平成29年度上郡町郷土資料館特別展 赤松氏のふるさとをゆく』

兵庫県赤穂郡上郡町教育委員会・白旗城跡調査委員会1998『上郡町文化財調査報告2 国指定史跡 赤松氏城跡 白旗城跡』

上郡町教育委員会2021『上郡町埋蔵文化財発掘調査報告3 赤松氏関連遺跡調査報告書1 赤松居館跡1 範囲確認調査報告書』

姫路市教育委員会1981『御着城跡発掘調査概報』